未来経済ラボ

新しい経済で生きる実験の記録です

#15 日本人が英語を話せないのは英語教育のせい、ではない

f:id:jazzpianotrio:20140304014733j:plain

 

日本人が英語を話せない理由

 

を今日は考えてみたいと思います。

 

ほとんどの人が日本の英語教育に問題意識を感じています。文法とリーディング重視だとか、そもそも英語教師が英語話せないとか、いろいろ言われていますよね。

 

そして、実際のところほとんどの人が英語を話せません。こんな調査があるようです。

 

日本人の72%が「英語は話せない」「単語を羅列させる程度」 | 教育 - エコノミックニュース日本人の72%が「英語は話せない」「単語を羅列させる程度」 | 教育 - エコノミックニュース

 

 このことから、この2つの因果関係が論じられることが多いです。

 

そして、教育さえ改善されれば、英語が話せない問題が解決するかのような論調の記事をよく目にします。

 

教育のせいではない

 

ですが、私はこれは違うと考えています。

 

学校の授業で英語に触れる時間などたかが知れています。もちろん質の高い英語教育を受ければそれなりにできるようにはなるでしょうが、英語は言語なので日常生活の中で使う機会がなければその能力は伸びるどころか、どんどん落ちていってしまいます。海外留学経験者でも英語を忘れてしまった人を何人も知っています

 

日本語は学校で教わらなくても話せるのに、なぜ英語になると話せないのが学校のせいなのでしょうか?

 

そうです。日本人が英語を話せない理由は、英語の授業の問題ではなく、「日常生活の中に英語がないから」です。

 

フィリピンにそのヒントがありました。

 

フィリピン人の英語が堪能な理由

 

以前こちらの記事でも書きましたが、

 

2.留学するのはいいけれど、じゃあ具体的に何しに行くの? - Thou shouldst eat to live; not live to eat.#2 留学するのはいいけれど、じゃあ具体的に何しに行くの?

 

 

多くのフィリピン人が英語を流暢に扱える理由は、日常生活における英語でのインプットとアウトプットの機会が日本人に比べて圧倒的に多いからです。

 

彼らは別に「素晴らしい英語教育」を受けているのではなく、幼稚園から大学までの「教育そのものを英語で」受けているのです。多くの職場でも英語で仕事をしています学校や職場の外でも、地元の人とはビサヤやタガログなどの母語で話しますが、外国人や違う島の出身の人とは英語で話します。ショップやレストラン、観光地での表示や会話も英語です。テレビも多くのチャンネルは英語、映画もローカル言語への吹替版はほとんどないので英語のまま観ます。

 

日本では英語を学んでも使う機会がない

 

一方、日本の状況については言うまでもありません。英語の情報としてぱっと思い当たるのはJRの車内アナウンスくらいです。

  

つまり、日本人が英語を話せないのは、国内の日常生活においてコミュニケーションとしての英語を使う機会がないからです。

 

なので、これを「教育で」解決しようとしているうちは、日本人はいつまでたっても英語が話せるようにはならないと思います。

 

すべて日本語でできることにはメリットも

 

今の日本の環境についてネガティブな言い方をしましたが、あらゆるシーンにおいて母国語でコミュニケーションが取れるというのは実は素晴らしいことです。

 

ことフィリピンの教育に関して言えば、彼らが英語で教育を受けているのには、母国語で書かれた書籍がない、学びたい概念や単語が母国語に存在しないことも関係しています。戦略的に英語で受けているというよりは、英語で受けざるをえない側面があります。

 

一方、日本はどうでしょうか。 

 

個人的な話になりますが、私は大学で理工学部の電子工学を専攻しており、卒業間近までずっと日本語で教育を受けてきました。ところが4年生になっていきなり英語で書かれた専門的な論文を読まされて、面食らった記憶があります。

 

ですが、これは逆に考えればそこに至るまでは日本語で学ぶことができた、ということです。大学の教科書が母国語で書かれているというのはすごいことなのです。英語を学ばずとも高等教育が受けられるというのはそれはそれで一つの大きなメリットであることは忘れてはいけないポイントです。

 

ではどうすれば?

 

今まではこれで良かったのだと思いますが、今後、大多数の日本人が英語を使いこなせるようにしたいのであれば、100%日本語偏重のコミュニケーションは見直していかなければなりません

 

では、具体的にどうすれば良いでしょうか。日本独自の事情もふまえながら、解決のアプローチについて次回考えてみたいと思います。