#21 フィリピンで学んだ3つのこと —郷土愛—
最終回は郷土愛について書きたいと思います。
私は5ヶ月の留学生活を通じて、自分はなんて素晴らしい国に生まれ育ったんだと感じずにはいられませんでした。
別にフィリピンをバカにしているわけではありません。正直にこう思いました。
滞在中に起きたことと感じたことを綴ってみようと思います。
安全面
セブ滞在中の2013年10月に巨大地震に遭いました。震度という概念は日本独自のものなので揺れの度合いは分かりませんが、感覚的には東京で感じた東日本大震災と同程度のものでした。お隣ボホール島を中心に200人以上の方が亡くなったそうです。
翌11月には巨大台風に遭いました。こちらもお隣レイテ島を直撃し、6,000人以上が命を落とし1,700人以上が今も行方不明とのことです。
日本で2年半くらい使っていたiPhoneを、渡比後たった1ヶ月でスられました。
フィリピンで最も安全と言われるセブですらこんなことが起きました。天災は誰にも予測できないので仕方がないですが、身体的、金銭的な安全を確保するためには
・地震が来たら室内にいても死ぬかもしれない(耐震設計になっていないので)
・タクシーを降りる前にサイフをバッグにしまわないといけない(降りた直後にひったくられないように)
・ショルダーバッグは常に前側に抱えていないといけない(後ろにしてると私みたいにiPhone盗られます)
・タクシーではぼったくりに気をつけなければならない(メーターが壊れていたら怪しいと思っていいです)
と、常にいろいろなことを意識しておかなければなりません。正直、これは結構疲れるなぁと感じました。金銭的な部分については、私が日本人なので目立ち、狙われやすいせいでもありますが。
日本が安全なのは当たり前でなく、実はいろんな方の努力によって生かされていたんだということは、このような経験をしなければ学ぶことはなかったでしょう。
衛生面
セブでは急激な人口増加に伴い、排気ガス等による大気汚染が問題となっています。私も一時期、咳が止まらなくなることがありました。生ゴミはそのへんに捨ててあることもあり、道によっては激臭がします。水道水は飲めません。シャワーで髪が抜けやすくなったと言っている女性がいました。
また、足をポリポリ掻いていたら膿んでしまって、歩けないほど腫れてしまったことがあります。以下は実際の写真です。
幸い病院で抗生物質を出してもらって事なきをえましたが、こんなの日本では一度も経験したことありません。
食事
食事は米と肉が中心で野菜はほとんどなく、全体的にオイリーでしょっぱいです。無糖のお茶がなく、食事中にコーラやマンゴーシェイクを飲む文化です。黙ってても接種カロリーが増えます。太ります。
こういう食生活をしているためか、ケガをしても皮膚が回復するスピードが遅いように感じます。
若いうちはいいと思いますが、正直このままこの食生活を続けるのは不安です。自分の価値観として、栄養バランスが良く美味しい食べ物のある国に住むことの優先順位が実はとても高かったんだ、ということは留学して初めて気付きました。
サービス
今、この記事はAyala MallのCoffee Beanで書いています。先ほどスタッフの人がお盆を落として大きな音を立ててかなりびっくりしたのですが、誰も謝りません。ホテルのハウスキーピングはタオルの交換をしょっちゅう忘れますが、こちらが指摘しても謝りません。レジではお客さんを何分待たせても気にしません。やさしい人もたくさんいますが、愛想が悪い人の方が多い印象です。停電はもはや日常茶飯事。エスカレーターなんて停電してなくても止まってます。トイレットペーパーはあればラッキー、流れればもっとラッキー。
最初はイラッとすることもあったのですが、すぐに文化の違いと割り切るようになりました。
こういう点において、もはや日本のサービス品質は世界遺産レベルだなぁと感じます。多くの人が疲弊している様子を見ると、むしろ日本がやり過ぎなんじゃないかと思うくらいです。
日本はすごい国ですよ、ほんとに
月並みな感想なのは知っていますが、私は5ヶ月のフィリピン留学を経験して日本が大好きになりました。
留学を勧める理由があるとすれば、英語力の向上よりもむしろ郷土愛の醸成の方が強いです。今や英語を学ぶだけであれば、ある程度のお金と時間さえかければ日本を出ずとも習得することは可能ですが、こういった物事の考え方が根本的に変わる経験は留学ならでは、だからです。
それも、1週間や2週間ではダメです。それは海外旅行と変わらないです。私の感覚では3ヶ月日本を離れて初めてこういう感覚を持ちましたが、1ヶ月でもそれなりに感じるものはあると思います。
日本の会社員は長期休暇が大変取りづらいですが、もしチャンスがあれば是非経験してみることをおすすめします。
個人的には少なくとも今は、やっぱり活動の拠点は日本に置きたいなぁと思っていますが、こう思えたことは大きな収穫でした。日本しか知らないから日本にいることと、世界を見た結果、主体的に日本を選んでいることは全然違います。
今年の8月からはまた日本で生活する予定ですが、楽しみで仕方ありません。
なお、今回は郷土愛というテーマ上、フィリピンの悪いところを強調しましたが、フィリピンにも日本よりいいと思うところはたくさんあることを補足しておきます。これについてはまた追って綴ることにします。