#152 「ゆるい就職」について思うこと
「ゆるい就職」に関する議論が加熱していますね。
今日はこれについて思うことを書いてみようと思います。
「ゆるい就職」賛成!
結論から言うと、こういう働き方には賛成です。多くの日本人が疲弊している原因の一つは、ワークスタイルのオプションが少なすぎて、極論すると以下のどちらかを選ばなければならないことにあると思ってます。
・正社員と呼ばれる働き方
→収入は安定するが、週5日、場合によってはそれ以上働き続ける。長期休暇の取得も許されない
・フリーターと呼ばれる働き方
→フレキシブルに働けるが、収入が不安定で上がりにくい。
だから、こういう働き方が社会でどんどん市民権を持つようになればいいなぁと思います。
賛成だけどリスク大
一方で、現実的な部分に目を向けると、いまの日本社会で「ゆるく働く」ことには大きなリスクがあるといえます。理由は、
週休4日という働き方で培ったキャリアが、今の日本の人材市場ではほとんど、場合によっては全く評価されない可能性がある。いわゆるフリーターと同じ働き方と見なされてしまう可能性がある。
という点につきます。
あるときその会社から外に飛び出して、さあ他の会社で働こうと思っても、だれもその人を評価してくれない可能性があるわけです。
正社員は川上、その他は川下
残念なことに、今の人材市場では、30歳までに正社員としての経歴がないと、それ以降は正社員になることは極めて難しい、とも言われています。
正社員であることのメリットの一つは、極論すれば週5日の労働時間を会社に捧げ続けることによって、個人では稼ぐのが難しい額の収入を得られることだと思ってます。
特に家族を持とうと思っている人は、ライフステージに応じてお金がたくさん必要な時期とそうでない時期があることを理解し、前者の時期に十分な収入が得られるよう計画する必要があることも頭に入れておく必要があります。
本来はライフステージに応じていろいろな働き方が選べるのが理想なのですが、いまの日本社会は、正社員→その他、という方向には簡単に行けても、逆の方向に行くのが非常に難しいことが根本的な問題だと考えています。だからみんな会社にしがみつく。
残った4日の週休でビジネスを立ち上げて成功する人も中にはいるのかもしれないけれど、そこで成功してしまうような人は最初からゆるい就職なんてしないんじゃないかと思います。
この問題を解決するためには
雇用をもっともっと流動化させる必要があると思います。細かい点についてはまた考えてみますが、おおまかな動きとしては終身雇用や年功序列をやめるのはもちろん、正社員としての社歴ではなく、本人のスキルや能力そのものが評価されるようになるのがベストだと考えています。国レベルで取り組むべき問題かもしれません。
日本はまだまだ、目には見えない川の流れがあります。そして下流にいる人間に厳しい国です。上流が絶対にいいと言うつもりはないけれど、上に行きたかったのにいつのまにか行けなくなっていた、という状況は不幸です。自分がいま川のどのあたりにいるのか、常に敏感である必要があります。
若くしてゆるい就職をする方には、ぜひこのことを頭に入れた上でキャリアを築いて欲しいなぁと思います。
冒頭で書いた通り、私はアイディア自体には大賛成なので、私の心配が杞憂に終わることを祈っています。今後の動きに注目です。