未来経済ラボ

新しい経済で生きる実験の記録です

#224 「会社の居心地がいい」ことが、本当にいいことなのか

あなたはなぜ会社で働くのですか?どうして今の会社を選びましたか?

 

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お給料がいいから?ビジョンに共感したから?キャリアアップできるから?

 

理由は人それぞれだと思うけれど、その中に「居心地がいいから」が入ってる人は一度、よく考えてみることをオススメします。

 

そもそも「居心地の良さ」って何?

 

ここでは例えば以下のような内容を指すものとします。

 

・社員がみんな優しい

 →パワハラする人がいない、困ったときに助けれてくれる、等

・社員がポジティブで優秀である

 →問題が発生しても他人のせいにせず、自分で解決策を考える、等

・自由度が高い

 →フレックス制や在宅勤務を取り入れている、等

・残業が少ない

 

ではなぜ「居心地がいい」ことが必ずしも良いとはいえないのか。理由は2つあります。

 

1.「居心地の良さ」はストックされない

 

一つ目の理由は、「居心地の良さ」というものは、本人に積み上がっていくものではないからです。

 

今の仕事で磨いたスキルは、それを辞めても確実に残ります。人脈もそう。給料ですら口座残高になれば持ち運びができます。

 

だけど、「居心地がいい」というのはその場を去ってしまえば一瞬で失ってしまう、刹那的なものです。

 

「居心地がいい」こと自体はもちろん歓迎すべきことだけれど、

 

・漫然と日々を過ごしていないか

・同じような業務ばかりやっていないか

・何かがストックされている感覚があるか

・自分次第でそれを手に入れられる環境か

 

には常に敏感であるべきだと強く思います。

 

2.同じ会社で一生過ごすことはありえない

 

1のようなことを言うのも、同じ会社で一生働くことはもはやありえないからです。死ぬまで会社が人生の面倒を見てくれた時代はいいでしょう。だけどもはや、

 

・大きな船に乗っても簡単に沈む可能性がある

・沈む前に別の船に乗り換える必要がある

・自分の船が行きたい方向に進んでいないと感じたら乗り換えるべき

・もし船が沈んだら自力で泳げなければならない

 

といったことを意識してキャリアを積んでいく時代が、とっくに来ています。

 

もちろん、お給料が良くて、ビジョンにも共感して、キャリアアップもできて、居心地もいいのであれば今すぐにその会社を去る理由は全くありません。

 

重要なのは、会社と従業員の関係は未来永劫続くものではなく、時とともに変化するものだ、ということです。

 

鴻海に買収されたシャープのように、外資系の子会社になって文化が大きく変わってしまうかもしれません。業績が悪化してお給料が激減するかもしれません。上司が嫌な人に変わってしまうかもしれません。一部の人が不祥事を起こしたために会社全体が社会的制裁を受けるかもしれません。会社が変わらなくても、自分が会社に求めるものが変わるかもしれません。

 

こんなに会社側も従業員側も変わる余地が大きいのに、その関係が変わらないはずはありません。「今は居心地がいいから」だけで会社にしがみつくのはもはや悲劇です。

 

まとめ

 

「居心地がいいこと」自体はいいことなのに、なぜそれに気をつけなければならないか?

 

それは、居心地が「その会社にいる一番の理由」になってしまうと、給与面やキャリア面でのアップサイドが望めなくなっても、いつしかそれが「その会社を辞められない理由」になってしまう、麻薬のような中毒性を秘めているからです。

 

居心地の良さは社員に快適な人生をもたらす一方、思考停止に陥れる可能性を孕んでいます。だから、今どんなに居心地が良くても、以下2点は常に戒めておくべきなのです。

 

1.居心地の良さはストックしない、刹那的なものである

2.会社と従業員の関係は変わるので、同じ会社に勤め続けることはあり得ない

 

ただ難しいのは、居心地のいい会社を作っている経営者は、社員の幸福度や生産性を最大限に高めようとしているだけであり、別に陥れるつもりなど全くないことです。

 

けれども、私の知る限り居心地の良い会社というのはまだまだ数が少なかったり、あったとしてもそれは部署単位で、たまたま人間関係に恵まれたりというケースだったりするので、下手に環境を変えると失われてしまうリスクがあるのもまた事実です。

 

だから、社員の幸福を考える会社がもっともっと増えればいいなと思います。そうすれば居心地がいいことは前提となり、みんな自分の目的地に向かって自信を持って船を乗り換えられます。そんな日が来ることを願っています。

 

以上、会社員として働く場合のキャリア論でした。おしまい!